ちかちーの旅log!

logであり、録であり、(b)logである

No.3 三江線探訪(2016/8/30)

今回は実家広島から、廃線が噂されていた*1三江線の探索を取り上げる。

高校の同級生だった北大生Tと今回は一緒に行く。彼もまた鉄道オタクである。*2

 

実家の最寄り駅からまずは広島へ*3。今回は石見川本でしかまとまった時間はなく、しかも事前の調査では現地での調達は見込めない。構内のセブンイレブンで買っていくとしよう。

第2走者:広島7:53→三次9:53 1852D

6両編成と芸備線にしては長いが途中狩留家で後ろ3両を切り離すらしい。ここまでは広島の通勤圏内なので単線にしてはかなりの本数がある。

さて、三江線は「レールの異常高温により運転見合わせ」などといった理由ですぐ運転見合わせになる。広島市内は何ともなかったが、一応運行状況を確認してみよう。

 …なんてこったい。予想の斜め上の事態である。議論の結果とりあえず三次まで行ってから考え、動いている範囲だけでも乗るということにした。

何度かJRおでかけネットを確認していると、状況は少しずつ改善されているらしい。江津までの往復ももしかしたらできるかもしれないと信じつつ…

さて三次に到着し、三江線の出発するホームに行くと、まだ列車はいない。9:57発のはずだが、やはり遅れているのだろう。

第3走者:三次9:57(10:30ごろ)→石見川本12:09(13:16ごろ) 424D

30分ほど遅れて10:30、三次を発車。乗客は一見してほとんどが同業者のようだ。

若い男2人組が各駅の駅標を撮っていた。停車するたびに身を乗り出して撮影しており、運転手が迷惑そうな表情をしていたが気にしている様子はない。それどころか唯一通過する長谷の駅標がうまく撮れなかったらしく、「長谷は『再履修』*4だな」という会話がはっきり聞こえた。どうにかしてほしいが、おそらくどうにもならないだろう。

10:58頃、式敷で交換*5。対向列車の遅れはなんと127分だ。120分以上の遅れなら運賃払い戻しの対象になるのだが…肝心の該当者はいなかった。

浜原からは徐行運転だという。30km制限がかかっているが、トンネルに入ったら加速し出るときには再減速して遅れをなるべく出さないように運転している。だが、遅れの時分は伸びる一方だ。石見川本での時間はないかもしれない。

三江線江の川に沿うように線路が敷かれているが、時に離れた時には県境の境目となっているため県が変わる。|を県境とすると

←至三次 香淀 | 作木口 江平 口羽 | 伊賀和志 | 宇津井 →至江津

このように県境がコロコロ変わっているのだ。

11:35頃、宇津井に到着。この駅はInstagramの説明の通り、集落から116段もの階段を上った先にホームがある。こうした駅は珍しいため、運転士が機転を利かせて撮影タイムを設けてくれた。2分ほどで発車。

https://www.instagram.com/p/BJt3ZdzDgEFKt_C_MGGiS2-U6op3xLEGF-qnXI0/

宇都井にて。集落から116段の階段を上がっていかなければならない。

三江線の全通は1975年と非常に新しい路線だ。*6特に浜原~口羽はその中でも最後に開通した区間のため、トンネルや高架が比較的多い。こうした意味でも三江線は独特の路線である。

時折15kmの徐行運転をしつつ、12:41頃浜原を発車し通常速度で運転。この時点で69分遅れである。しかしこれほどの遅れでも他の列車のダイヤに大きな支障をきたしていないあたり、閑散路線の程度が伺えるのだが…

粕淵から先は江の川を進行方向右側に見つつ進んでいく。*7粕淵は沿線では比較的大きな集落だが、乗降客はほとんどいない。

結局70分遅れの13:19頃、石見川本に到着。次の列車は列車番号が変わり、時刻表上も別の列車で運行されるように見えるが、実際には同じ列車である。

改札に行くと、川本町の職員であろうおじいさんがいた。本来は94分の停車時間があるので、その時間を利用した駅周辺の散策用の地図を配っている。私もいただいたが、次は定刻の発車とのことなので20分ほどしか時間はない。

そのおじいさんが大学ノートに何かを書きつけている。聞くと424Dの乗客はどこから来たのかを訪ねているらしい。やはり廃線の話が出始めた2016年春頃から客は増えているようだ。日本各地にとどまらず、ドイツやカナダなど海外からも訪れたという。

「今はこうして毎日50人ほどの客が訪れているが、これがもし廃線になったら、こんな町は見向きもされない。鉄道があっての町で、バスや車じゃ観光資源にはならない。無視されて廃れさびれるばかりだ」

確かに川本町含め、沿線に目立った観光地はない。*8とはいえ観光地ありきの鉄道ではないはずだ。まず地元住民の利用が最優先だとは思うのだが…*9

第4走者:石見川本13:43→江津14:49 426D

石見川本で十数名の学生が乗ってきた。部活帰りだろうか。しかし地元住民の利用はその程度である。川戸までに全員が降りて行った。

石見川本を出てからどうも雲行きが怪しかったが、強い雨が降ってきた。止まったら帰れないので勘弁してほしいが…

定刻に江津着。特にやることもないので、折り返しの列車を待つ。

 もはや笑えるほどの運行本数の差である。

第5走者:江津15:17→三次18:47 429D

相変わらずの雨だが定刻に発車した。

石見川本の改札を見てみると、あのおじいさんはいなかった。424D以外に石見川本での長時間停車はないので、あの統計は424Dの客のみを取っているらしい。これ以外は三江線に乗るのに困難なダイヤだからだろう。事実浜原や口羽で交換した列車は、ほとんど空気輸送に近い状態だった。危惧していた雨も治まり、ゆっくりと108.1kmをたどっていく。

行きには気が付かなかったが、駅標の一つ一つがそれぞれ違う神楽のお題目になっている。広島県の北部や島根県は神楽で知られているからだろう。また沿線には「乗って残そう!三江線」といった横断幕が目に付いた。三次のタクシー会社と協力したプランもあるようだが利用はどうなのだろうか…

定刻に三次着。

第6走者:三次18:57→広島20:49

一見して学生や地元の利用客が多い。三江線の惨状を見てしまった後だと猶更鉄道本来の目的を果たしているように感じる。

やはりこの先、三江線は厳しいだろう…と考えながら帰宅の途に就いた。

 あれから一か月後の9/30、ついに来るべき時が来てしまった。

三江線 江津〜三次駅間の鉄道事業廃止届出について:JR西日本

2018年3月末を以て三江線全線の廃線が決まった。やはり、というべきだろうか…利用客特に長距離のそれの減少に加え*10、2013年の台風被害が追い打ちをかけたようだ。そうでなくても頻繁に止まったり、遅れたりしているのは地元紙によく掲載されていた。

この記事を見たとき、真っ先に浮かんだのは石見川本で出会ったおじいさんだった。これを知ったとき、無念さを感じたのは想像に難くないが…どう思われたのだろうか…

今でも統計は取られているのだろうか。あと1年しかないが、再度訪れてみたい。

*1:旅行当時

*2:しかも北大の鉄研に入りコミケで会誌を頒布している

*3:第1、第7走者は今回は省略します。実家近くですし、書くこともないので

*4:おそらく帰りに再度撮影しなおすのでしょう

*5:約31分遅れ

*6:無論、旧国鉄の路線としてはだが

*7:三次~粕淵は何度も渡っているが、粕淵~江津はずっと江の川左岸に線路が敷かれている

*8:駅からバスで温泉、というのもなくはないが観光資源にするには不十分だろう

*9:これについてはいつか詳しく考察してみたいものです

*10:最も運行本数のまばらな浜原~口羽は4往復/日